自転車
小銭をもって 自転車こいで 君のささやく 夢買いに 夜空の月は 大きくなって やがて僕へと 落ちてくる リンリンリン 髪を切ったね リンリンリン 丘に登ろう #詩 #poem
鳥
つまらない意地で 世界を否定した 孤独との戦いは 自らを偽るための言い訳 地を踏み 空を見上げるならば 小さな愛に気付いて 翼に変えていかなくては 人は鳥にはなれない #詩 #poem
時間を知ってしまった
抱きしめようと腕をまわすけど どうしても触れられないでいる 君はそのすきまから抜け出して 時折遠くへ行ってしまう そんな君にふりまわされて かきみだされて 僕は自分の不様を知っている 僕は そんな自分がかわいいから 君が好きだと思っていられる ...
箱庭の中で
遠ざかるあの日がまぶしいほど 私の時間はモノクローム 電車の音 子供の声 浮かび上がる記憶の錯覚 石の階段に腰を下ろして 眺める街並みは嘘 過ぎてきた時間が確かなものだと 肯定するための確信を 誰も与えてはくれないのだから 口の中の錆びた味覚が ...
春色
春色は出会いの予感 ときめきを期待して なれないルージュを引いてみる バッグもスマホも新調したし 流行りのオープンカフェも調べた 休みの間のバイト代で買ったワンピ 上着なしではまだ寒い せっかくの日曜 気合を入れて でも 何かが足りないんだよね...
思い出を聴かせて
孤独を偽るほど 孤独に気付いて 優しくされるための 嘘を重ねた 不安という言葉では 表しきれない よすがのなさが 夜を濃くする 逸れて咲いた花の生命が 彩る夢の薫りのように 甘く咽いで 目を覚ます 私の最期にその手を握り 可愛い嘘で癒してくれる...
早春
四月の雨 薄紫のムスカリ 屋根を叩く音 傘の花 窓辺に寄りかかって タバコを吹かす 私が嫌がっても やめようとはしないね 冷蔵庫に 食べるものがないから 買い物に行く? 外で食べる? いらね ぶっきらぼうに こちらを見ないまま ...
ときめき
歩きながらキスした ハッとしたような顔 鼻先のアイスクリーム あさってを向いて微笑った ふたりで選んだ部屋を見た これから暮らす街の匂い いてもいられぬ幸せに 私はステップを踏み 街路樹と踊る 呆れ顔のあなたは 立ち止まって 新しい明日を ...
描けない未来
やがて雲間から差す ひかりの温度に ひとつひとつのいのちが こたえを出す頃 ふたりして 道行きを振り向くの まちがいなんか無かったと 思い知るために 傷つけあう仲でも あなたなしで生きられない 苦し紛れの笑顔でも 充たされるなら 描けない未来を...
ティンク
水の無い木にくちづけしたら 森がざわめき いきものの鼓動が聴こえた 地に幾万の心の隙間 私は羽根をひろげて伸びをした たいくつはきらい だから悪戯をしよう あのひとは人魚の入江で だれかを口説いて 小さなくちづけのあとで インディアンと遊ぶ ...